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■修復再生に至る経緯とその取り組み |
1.ファーレ立川の街づくりとアート 修復再生事業の具体的な説明に入る前に、修復再生事業の対象であるファーレ立川アート作品とファーレ立川の街との関係を述べておきます。 ファーレ立川の街は、平成3年12月に施工者である住宅・都市整備公団(当時)が第一種都市再開発事業として事業認可を受けて、平成6年10月に完成させた商業・業務機能を中心とした街で、敷地は5.9ヘクタール、10棟のビル群の延床面積は約256千uで、就業人口1万人、来街者1日3万人をめざす多摩地域の広域拠点ゾーン、いわゆる業務核都市の都心形成ゾーンとしてつくられました。 敷地の大半は米軍立川基地跡地であり、返還された国有地を活用した新たな街づくり事業として、地元立川市長及び東京都知事から事業要請を受けて、住宅都市整備公団が完成させ、権利変換や保留床の処分を経て、「街開き」が行われました。 実は、この土地の開発には、制約条件がありました。それは、近接する立川広域防災基地内に滑走路があるため、航空法の適用から、53メートルのビルの高さ制限を受けることでした。高さ制限以内で容積率一杯のビルとなると、公園も広場も充分に取れない、ゆとりのない街になります。 一方、当時の立川市は、基地の街立川から文化の街立川をめざしていました。そこで、街と一体化したアート計画を取り入れることでこの課題を克服することとし、三つのコンセプトがたてられました。一つは20世紀末の世界を写す街、二つは機能の物語化(アート化)、三つはオリエンテーリングができる驚きと発見の街でした。 このような意図から、ファーレ立川の街は、街とアートが融合した空間づくりが行われました。 2.10年たったファーレ立川アートに破損や傷、劣化が目立つ ファーレ立川の街が完成して12年余。ファーレ内にある109のアート作品の中には、破損や傷、劣化が目立つものが増え、アートを愛する市民や新聞等で指摘されるようになり、何らかの対応が必要という機運が芽生えました。 このような状況の中で、平成16年5月、立川市からファーレ立川内のビルの所有者で組織するファーレ協議会に「オーナーとして修復事業に取り組んでいただきたい。その考えがあるなら公益性が高い事業なので、支援協力したい」旨の要請がありました。 ファーレ協議会で協議した結果、各ビルとも修復のために一定の負担をする旨の合意を得て、平成16年12月15日付で立川市長宛にこの事業への支援・助成を文書でお願いいたしました。 <アートツアーに参加した市民や学生の声> ●触ったり音を聞いたりいろいろな体験ができて楽しかった ●ネオンが切れていて残念、なぜ直さないのか ●壊れたり、傷ついている作品が多くてかわいそう ●汚れが気になる 3.ファーレ立川アート管理委員会、同再生実行委員会の発足 立川市からの支援の意向を得て、平成17年1月、ファーレ協議会、立川市、ファーレ倶楽部の三者による「ファーレ立川アート管理委員会」が結成されました。 ファーレ立川アート管理委員会は、修復再生事業をどのようにするか、資金集めをどうするか、組織体制をどうするかなど、様々な課題を検討した結果、ファーレ立川アートの意義や重要性、多くの市民の支援の必要性などから考えて、この修復再生事業は、もっと多くの市民や市民団体の参加を得て進めていく方がよいということになりました。 これを受けて、様々な団体や個人に呼びかけをした結果、平成17年6月30日、パレスホテル立川で発足パーティーが行われました。30余の団体や個人が参加した『ファーレ立川アート再生実行委員会』(当初は「ファーレ・アート再生プロジェクト実行委員会」と称したが後日改称)が結成され、その場で様々な参加団体から熱いメッセージが寄せられ、修復再生事業への機運が盛り上がりました。 4.修復再生事業のための財源確保に奔走 ファーレ立川アート再生実行委員会の構成委員を中心にして、平成17年の夏から晩秋にかけて、オフィシャルパートナー(協賛者)を募った結果、寄付金では700万円を超えるご厚志を頂きました。 マスコミでもこの動きを報道していただいたり、サンサンロードでの楽市(立川市民祭)への参加などを通じて、修復再生事業に対する多くの皆様の理解を得るところとなっていきました。 このような動きのなかで、東京都や(財)民間都市開発推進機構からも助成が受けられることになり、全体の事業費としては、3400万円を超える資金の確保に目途がつき、計画した事業が平成17年度の後半から本格的に動き出しました。 |
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