(インタビュー記事)斎藤桃×北原義嗣(ピアノ)

2023年4月7日、たましんRISURUホール(立川市市民会館)で開催される「斎藤桃×北原義嗣 ピアノ デュオ リサイタル」。
入賞者リサイタル以来、小ホールに帰ってきたお二人が「ピアノデュオ」に取り組みます。そんなお二人にお話を伺いました。

 

―初めて2人がお会いしたのはいつですか?デュオ結成のきっかけは?

斎藤:2人とも国立音楽大学附属幼稚園から同学でした。ですから、初めて先輩にお会いしたのは幼稚園の時だと思うのですが、一つ学年も違いますし、2人ともほとんど覚えておらず…ちゃんとお話ししたのは大学学部の時に同じ門下になってからではないでしょうか。今回は多摩フレッシュ音楽コンサートでのご縁でこのようなご提案をいただき、嬉しかったです。同じ師のもとで音楽を学ぶ先輩と、音楽を考え、創っていく機会をとても楽しみにしています。

北原:斎藤さんとは学年が一つ違いますが、幼稚園から大学まで一緒ですから、まちがいなく遭遇しているはずですね。ただ、お互いを認識するまでには至らず、その意味で斎藤さんに会ったのはいつかと聞かれれば、それはお互い大学生になり、花岡千春先生の門下の歓迎会に斎藤さんが颯爽と現れた時かもしれないですね。今回、デュオ結成のきっかけは、多摩フレッシュ音楽コンサートとのご縁から斎藤さんとの共同企画が生まれ、ふたりで取り組むのならデュオで挑戦しようということになりました。

多摩フレッシュ音楽コンサート2016本選

 

多摩フレッシュ音楽コンサート2021本選

―お互いの印象は?

斎藤:技巧的なものをバリバリ演奏されるのかなと想像していましたが、シューマンを中心に研究されているとのことで、演奏会では真摯に音楽と向き合った、深い演奏されている姿が印象的でした。とても謙虚な方で、普段、お話ししたり、何かお聞きしたりしたときも、細かく丁寧に教えてくださる先輩です。

北原:斎藤さんは、高度なテクニックと知性に裏打ちされた演奏をされており、その表現力を含め、大変刺激を受けています。自身の演奏には厳しく臨まれていますが、普段の生活でもとてもきめ細かな心配りができる方です。今回、デュオ・リサイタル開催に向けて準備を進めるなか、大変心強く思っています。

 

―お二人が師事しているのは、花岡千春先生でしたね。

斎藤:今回のお話を先生にご報告したときは、すぐにプログラムのご助言もいただき、とても喜んでくださっていたようで、非常に嬉しかったです。レッスンでは時に優しく時に厳しく、いつも熱くそして論理的にご指導いただいています。また、西洋音楽のことだけでなく、日本をはじめ、さまざまな伝統、文化や芸能についても、よくお話しいただくことがあり、いろいろな事に関心を持つようになりました。

北原:花岡先生からは、常に音楽を追究し続ける姿勢の大切さを学んでいます。初めて取り組む作品はもちろんのこと、自身のレパートリーに含まれる作品に対しても、常に新鮮な視点を持ち、演奏の可能性を広げることを日々学んでいます。花岡先生は学生の創り上げる音楽を尊重してくださり、その上で共に考え指導してくださいます。今回の2台ピアノの作品もそのように取り組んで参りました。

 

―今回、オール2台ピアノプログラム(演奏)と聞いて、驚きました!

斎藤:今回は先輩と初めて共演する機会ですし、いろいろな面で大きな挑戦です。プログラムには、バロックから近現代まで幅広い時代の個性豊かな作品を選びました。前回、ソロリサイタル(入賞者リサイタル)をさせていただいた際は近現代の作品に焦点を絞ったプログラムにしましたが、今回のデュオ・リサイタルでは、それぞれの作品の時代性、作曲家の個性などが見えやすく、より楽しんでいただけるのではないかと思います。

北原:今回はじめての経験となりますので、とても新鮮な気持ちで作品に取り組んでいます。リサイタルで演奏する曲目は、バッハ、シューマン、ストラヴィンスキーの作品に加え、日本の作曲家、吉松隆の《ランダムバード変奏曲》を取りあげます。吉松隆の作品は以前から取り組んでみたいと思っていましたので、僕自身とても楽しみにしています。

入賞者リサイタル(2021.3.5小ホールにて)

 

―2台ピアノの面白さ、魅力はどんなところでしょう。
 逆に、2台ピアノで大変なところは?

斎藤:ピアノ2台で演奏しますが、同じ楽器での2パートを合わせることは、面白さでもあり、大変な部分でもあります。1台でも充分演奏可能な豊かな音量を持つ楽器ですから、2台で演奏すると結構な迫力があり、あわせて20本の指があるのでいろいろな効果が出せるところは2台ピアノならではの魅力です。大変さという面では、ピアノとピアノを向き合わせた形で演奏する場合は、まず相手の手も見えませんから、合わせることが難しく、最初の音から緊張します。でも、その分、互いの目指す音楽が重なって、豊かな一つの音楽となった瞬間はひときわ嬉しいですね。

北原:2台ピアノの魅力は、一つの音楽を作り上げていくなか、一人では思いもしなかったような作品へのアプローチや表現方法が飛び交った時にあると思います。お互い影響し合いながら、僕たちの音楽の方向性を見つけ、競演したいと思っています。

入賞者リサイタル(2017.3.24小ホールにて)

 

―最後にご来場いただく皆さんにメッセージをお願いします!

斎藤:この度はこのような素晴らしい機会をいただき、感謝しております。ピアノデュオでのコンサートは私の憧れの一つだったので、とても幸せです。2台ピアノだからこそできる、掛け合いが素敵な作品、ダイナミックな作品も演奏しますので、ぜひ足をお運びいただければ幸いです!ご来場、心よりお待ちしております。

北原:この度は、リサイタルの機会をいただけて大変嬉しく思っております。2台ピアノならではの重厚感や音の豊かさをお楽しみ頂けたら嬉しいです。皆さまのご来場をお待ちしております。

斎藤さん、北原さん、インタビューへのご協力、ありがとうございました!!

 


斎藤桃×北原義嗣 ピアノ デュオ リサイタル
日時:2023年4月7日(日曜日)18:30開演(18:00開場)

会場:たましんRISURUホール(立川市市民会館)小ホール

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主催:斎藤 桃・北原義嗣ピアノデュオ実行委員会、公益財団法人立川市地域文化振興財団
後援:国立音楽大学附属高等学校同窓会